ベトナム映画おすすめの名作【2023年最新版】

2023-06-02

ベトナム映画の中でおすすめの名作をご紹介します。日本でも有名な代表作から、日本ではあまり知られていないけれど現地で人気を集めた作品、またマイナーだけれど良作、というものまで、日本語版DVDで観られる作品を中心に集めてみました。ベトナム映画を観てみたいけれど何から観るべき?一通り観たけれど次は何を観よう?どんなベトナム映画があるんだろう?という皆さまの参考になれば嬉しいです。

ハイ・フォン
(Hai Phượng)

ハイ・フォン (Hai Phượng)

「ハイ・フォン(Hai Phượng)」(2019年2月)は、Ngô Thanh Vân(ゴー・タイン・バン)主演のアクション映画。激しいアクションシーンが満載ですが、一方で母と娘の愛が色濃く描かれています。

ベトナム映画として初めて、ベトナムとアメリカで同時に公開されました。日本では、2019年3月8日~17日開催の「第14回大阪アジアン映画祭(Osaka Asian Film Festival 2019)」が日本初上映となりました。ベトナムでの興行収入は2000億VND(約9億7600万円)を超え、2019年4月時点でベトナム映画の興行収入ランキングのトップに立っています。

Netflixで配信!

Netflix(ネットフリックス)で、2019年5月22日より世界100か国での配信が決定しました。日本語タイトルは「ハイ・フォン: ママは元ギャング」となっています。

詳細はこちら→ベトナム映画「ハイ・フォン」Netflixで5/22配信開始

漂うがごとく
(Chơi Vơi)

漂うがごとく (Chơi vơi)

「漂うがごとく(Chơi Vơi)」(2009年11月)は、Bùi Thạc Chuyên(ブイ・タック・チュエン/ブイ・タク・チュエン)監督の作品で、複雑に重なり合った人間関係、人間関係の中にある孤独やさみしさ、そして人間の欲をしずかに描いています。全体を通して色が暗めで、人の黒い暗い部分やベトナムのじめっとした空気が絡み合い、独特な雰囲気を生み出しています。

日本での上映が決定!

日本語版DVDが販売されておらず、これまで日本で観る手段がありませんでしたが、日本各地での上映が決定しました。2019年3月23日(土)より東京都、大阪府、兵庫県、神奈川県、栃木県、愛知県、京都府で順次公開。ベトナムの名作映画を観られる貴重な機会ですので、ぜひ足を運んでみてください。

詳細はこちら→「漂うがごとく」「ベトナムを懐う」ベトナム映画2本が日本で同時公開!※劇場追加

青いパパイヤの香り
(Mùi Ðu Ðủ Xanh)

青いパパイヤの香り (Mùi đu đủ xanh)

「青いパパイヤの香り(Mùi Ðu Ðủ Xanh)」(1993年)は、ベトナム戦争時にベトナム系フランス人のトラン・アン・ユン(Trần Anh Hùng、ベトナム語読み:チャン・アイン・フン)氏が監督・脚本を手掛け、同氏のデビュー作ともなったフランス・ベトナム共同制作の映画です。

1950年代のサイゴン(現在のホーチミン市)を舞台に、主人公の少女の人生を淡々と描いた作品です。主演のトラン・ヌー・イエン・ケー(Trần Nữ Yên Khê、ベトナム語読み:チャン・ヌー・イエン・ケー)もベトナム系フランス人で、ユン監督の妻でもあります。

この映画は1993年6月にフランスで公開され、日本では1994年8月に公開されています。1993年に第46回カンヌ国際映画祭カメラ・ドール(新人監督賞)、1994年にセザール賞新人監督賞を受賞したほか、1994年には第66回アカデミー外国語映画賞にノミネートされました。

ユン監督の手掛けたベトナム映画として「青いパパイヤの香り」のほか、「シクロ(Xích Lô)」(1995年)、「夏至(Mùa Hè Chiều Thẳng Ðứng)」(2000年)もあります。ユン監督は、元SMAPの木村拓哉や韓国のイ・ビョンホンらが出演する「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」(2009年)、村上春樹の同名小説が原作で、松山ケンイチ、菊地凛子、水原希子らが出演する「ノルウェイの森」(2010年)も手掛けています。


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夏至
(Mùa Hè Chiều Thẳng Ðứng)

夏至 (Mùa hè chiều thẳng đứng)

「夏至(Mùa Hè Chiều Thẳng Ðứng)」(2000年)は、「青いパパイヤの香り」と同じくトラン・アン・ユン監督の作品で、ハノイ市と世界遺産のハロン湾を舞台に、長女・次女・三女の3姉妹と長男、そして長女と次女の夫たちが、様々な人間関係の中でそれぞれ抱える秘密と嘘を静かに描いています。

中の人が初めてこの映画を観たときの印象は「バイク コーヒー 家 屋台 道路 龍眼 鶏 蚊帳 シクロ カフェ 黒髪 アオザイ 雨」。どのシーンからも「いかにもベトナム」という色やにおい、音が感じられます。当時のハノイ市の情緒あふれる街並みに加えて、音楽、雨の音、そして北部のベトナム語の発音も映画の味。個人的には、日本語吹き替えではなくあえてベトナム語で観るのがおすすめです。


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日本語字幕あり

サイゴンボディガード
(Vệ Sĩ Sài Gòn)

Saigon Bodyguards

「サイゴン・ボディガード(Vệ Sĩ Sài Gòn)」(2016年)は、「タイガーマスク」(2013年)や「太秦ライムライト」(2014年)などを手掛けた落合賢監督が、日本人として初めてベトナム映画のメガホンを取った作品です。

ボディガード2人が御曹司を探して敵に立ち向かい、ホーチミン市内を駆け巡るドタバタアクション&コメディ。アクションとコメディ、恋愛、そして男同士の友情。終始ハラハラドキドキで目が離せません。ホンダのカブでホーチミン市内の路地裏やローカル市場を駆け巡るカーチェイスのシーンも見どころです。


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CLASH クラッシュ
(Bẫy Rồng)

Clash (Bẫy rồng)

「CLASH クラッシュ(Bẫy Rồng)」(2009年)は、Lê Thanh Sơn(レ・タイン・ソン)監督が手掛けたベトナムのアクション映画の草分けともいえる作品です。主演のJohnny Trí Nguyễn(ジョニー・チー・グエン)とNgô Thanh Vân(ゴー・タイン・バン)の美男美女の組み合わせと、CGなし、ワイヤーなし、スタントなしのアクションがとにかくかっこいい。

殺し屋たちがチームを組んで任務を遂行するとはいえ、メンバー皆に何かしらの黒い過去があり、いつ裏切るか、裏切られるか、とお互い探り合いながら、すれすれの中でストーリーが進んでいくので終始ハラハラドキドキです。


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日本語字幕あり

フェアリーオブキングダム
(Tấm Cám: Chuyện Chưa Kể)

フェアリー・オブ・キングダム (Tấm Cám)

「フェアリー・オブ・キングダム(Tấm Cám: Chuyện Chưa Kể)」(2016年)は、「CLASH クラッシュ」で主演のゴー・タイン・バンが監督・脚本・製作を手掛け、継母役としても出演しています。「ベトナム版シンデレラ」とも称されるベトナムの昔話「タムとカム(Tấm Cám)」に着想を得たファンタジー映画で、ベトナムの世界遺産「チャンアンの景観関連遺産」がある紅河デルタ地方のニンビン省で撮影された大自然も見物です。

また、この作品にはゴー・タイン・バンがプロデュースしていた365daband(2016年活動停止)のメンバー4人全員が出演しています。Isaac(アイザック)は皇子役で主演。訛ったベトナム語で何とも良い味を出しているのがJun Phạm(ジュン・ファム)。さすがは元プロデューサーが監督というだけあって、メンバー4人の良さが120%出ています。


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ベトナムの怪しい彼女
(Em Là Bà Nội Của Anh)

ベトナムの怪しい彼女 (Em là bà nội của anh)

「ベトナムの怪しい彼女(Em Là Bà Nội Của Anh)」(2015年)は、Phan Gia Nhật Linh(ファン・ザー・ニャット・リン)監督が手掛けた作品で、2014年公開の韓国映画「怪しい彼女」のベトナム版リメイクです。

中国では2015年1月に「20歳よ、もう一度」として、日本では2016年4月に多部未華子主演で「あやしい彼女」として、それぞれリメイク版が公開されています。


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草原に黄色い花を見つける
(Tôi Thấy Hoa Vàng Trên Cỏ Xanh)

草原に黄色い花を見つける (Tôi thấy hoa vàng trên cỏ xanh)

「草原に黄色い花を見つける(Tôi Thấy Hoa Vàng Trên Cỏ Xanh)」(2015年)は、Victor Vũ(ヴィクター・ヴー)監督が手掛けた作品で、ベトナムの有名作家Nguyễn Nhật Ánh(グエン・ニャット・アイン)による同名の長編小説が原作です。ベトナムで2015年のベトナム映画の興行収入トップに立ったヒット作です。

思春期の子供たちの微妙な人間模様と心の動きが繊細に描かれていて、ベトナムの田園風景と音楽がまた美しく、ちょっと切なくてしずかできれい。日本語版DVDはまだありませんが、原作の日本語版が出版されています。


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まとめ

ベトナム映画というと「ベトナム戦争もの」というイメージを持たれる方も多いかもしれません。1990年代以前の旧作では、映画に対して様々な制限がかかっていたことも含めて、ベトナム戦争や配給時代など、当時の社会性や時代性を反映した作品が多いような気がします。一方で、2000年代前後からはいわゆる商業映画が多く制作され、映画館が一般の人々にとって身近になってきたことなどもあり、ベトナム国内で広く受け入れられるようになってきたのかなと思います。こうした中で、トラン・アン・ユン監督の3作品はまた少し異色で、絵画のような、音楽のような、芸術性を最大限に高めた作品のように感じます。

でもやはりどの映画も、ベトナムの風景や街並み、人々の暮らし、家族の在り方、人間関係など、どこかしらで「ベトナムらしさ」を感じられるという点では同じ。上に挙げた映画のうち「青いパパイヤの香り」と「夏至」は北部弁、他は南部弁が基本ですが、ベトナム語の響きも一緒に楽しんでいただきたいなと思っています。

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