ベトナム映画「ソン・ランの響き」、初日舞台挨拶にレオン・レ監督と主演リエン・ビン・ファットが登壇

ソン・ランの響き(Song Lang)
©2019 STUDIO68

ベトナム映画「ソン・ランの響き(原題:Song Lang)」が2月22日に新宿K‘s cinemaで公開初日を迎えた。同日、レオン・レ監督と主演のリエン・ビン・ファットが初日舞台挨拶に登壇し、作品への思いを語った。

「ソン・ランの響き」は、1980年代のベトナム・ホーチミン市が舞台。借金の取り立て屋ユンと、ベトナムの伝統歌劇「カイルオン」の花形役者リン・フンの刹那的な3日間の出会いを、退廃的で美しい当時のビジュアルとともに描いた物語となっている。

Song Lang
(C) ムービー・アクト・プロジェクト

カイルオンをテーマにした理由について問われたレオン・レ監督は、「子供の時からカイルオンの役者になることが夢でしたが、13歳からアメリカで暮らすことになったんです。その時、恐らくこの夢は叶わないだろうと思いました。しかし、カイルオンへの愛は私の中で1日も消えることなく、あり続けたんです。そして20年後、カイルオンの役者になることではなく、カイルオンの映画を作るという夢を持ってベトナムに帰国し、脚本を書き始めました」と語った。

一方、主演のリエン・ビン・ファットは、冷酷な借金の取り立て屋ユンを演じ、第31回東京国際映画祭でジェムストーン賞(新人俳優賞)を受賞。どのように役づくりしたかを問われると、「俳優デビュー作であり、たくさん難しいシ ーンがあったため、私の全ての能力を費やしました。脚本を何度も読み込み、演じるユンの人物像を分析し、カイルオンについても研究しました」と語った。

レオン・レ監督は、リエン・ビン・ファットを主演にキャスティングした理由にも言及し、「彼のボディや美貌も重視しました。魅力的ですから(笑)。しかしそれよりも大事にしたのは、彼の表現力です。特に無邪気な雰囲気の目です」と振り返った。

また、カイルオンの花形役者リン・フンを演じたアイザックについては、プロデューサーから提案された当初は断ったと明かした。「韓国のポップスターのようなアイザックは適役ではないと思っていました。しかし、何百人に会ってもふさわしい人がいませんでした。それでもう一度彼と会ってみると、バランスが取れていると感じたんです。カイルオンの役者にもオーディションを受けてもらいましたが、映画の世界にとけ込めないんです。しかし、映画の役者はカイルオンを演じられない。彼はそのバランスが良かったんです」。

続いて、レオン・レ監督への思いを問われたリエン・ビン・ファットは「監督への思いはA4用紙2枚でも足りません」と笑いつつ、「最も尊敬しているのは、基準を設け、自分の主張を譲らず、最後までやり遂げるところ。周りが経済的な効果の出る方法を提案しても、最後まで自分の基準を維持していました」と監督のこだわりを讃えた。

イベント終盤には、レオン・レ監督、リエン・ビン・ファットが練習してきたという日本語でそれぞれ挨拶。レオン・レ監督は「ありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願いします」と述べ、リエン・ビン・ファットも「友達にもどうぞよろしく!」と語り、開場は拍手に包まれた。

映画「ソン・ランの響き」は新宿K’s cinemaほか全国順次公開中。

映画「ソン・ランの響き」あらすじ・予告編

あらすじ

高利貸しの手下で借金の取り立て屋ユン(Dũng/ズン)と、ベトナムの伝統歌劇「カイルオン(cải lương)」の花形役者リン・フン(Linh Phụng)。全く接点のないはずの2人があるきっかけで知り合い、友情にも似た感情を互いに抱く。ユンは過去の記憶に囚われながらも新たな道を進もうとするが、その罪は償うにはあまりにも大きく、抗えない運命が迫っていた……。

予告編

「ソン・ランの響き」

<スタッフ・キャスト>

監督:レオン・レ
脚本:レオン・レ、ミン・ゴック・グエン
撮影:ボブ・グエン
プロデューサー:ゴ・タイン・バン
製作:STUDIO68
出演:リエン・ビン・ファット、アイザック、スアン・ヒエップ
提供:パンドラ
配給協力:ミカタ・エンタテインメント
配給宣伝:ムービー・アクト・プロジェクト
【2018年/102分/ベトナム】

公式ホームページ:http://www.pan-dora.co.jp/songlang/
Twitter:https://twitter.com/songlang_

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