劇団民藝公演「異邦人」、ベトナム人技能実習生と日本人家族の交流描く
劇団民藝が、ベトナム人技能実習生たちと日本人家族の心の交流を描いた新作「異邦人」を、2019年9月から10月にかけて紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAで上演します。
劇団民藝公演「異邦人」
概要
「異邦人」は、現代社会の諸問題を通して日本人の本質を鋭く衝いてきた中津留章仁氏による新作です。経済優先に走る経営者家族を描いた「篦棒」(2016年)に続く民藝書き下ろし第2作。現代社会で急激に存在感を増している外国人労働者たちと日本人家族の物語です。
欧州では難民や移民の問題が大きな話題となっている昨今。日本でも人口減少、人手不足などを背景に外国人労働者が増加を続けていますが、「労働力」としてではなく、本作では異なる文化を持つ人間同士として触れ合うことで生じる摩擦や感情を辿ることで、「島国」日本に暮らす私たちの根底にある意識を浮き彫りにし、共生の道を探ります。受け入れて共に生きていくために私たちはどう変わっていくのでしょうか。
物語は小さな町で家族経営する庶民的な洋食屋さんを舞台に展開。私たちにごく身近な登場人物たちとベトナム人技能実習生たちの心の交流が描かれていきます。
あらすじ
村本早苗と哲夫の夫婦は、ある地方の小さな町で食堂を営んでいる。お客は、近くの工場の従業員や近隣の農家や勤め人といった庶民的なお店。娘の友紀は役場に職を得て、息子の涼太は見習いコックとして哲夫の下で修行中だ。常連のお客は近くの工場の社員たちや農家の人びとで、以前は客足が絶えない店だったが、最近オープンしたばかりのネパール人カレー屋に押され気味。そんな時、店にグエンとチエンというベトナム人が現れる。「技能実習生」として農家で働くグエンと、工場で働くチエン。グエンのつくるカレーは絶品だった。早苗と哲夫は、新メニューに加える決断をするのだったが……。
出演者
樫山文枝、中地美佐子、小杉勇二、齊藤尊史、神敏将ほか
上演情報・チケット情報
上演情報
上演期間
2019年9月26日(木)~10月7日(月)
※全12ステージ
劇場
紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA(新宿南口/代々木東口)
※劇場定員452名
チケット情報
チケット
全席指定席、税込
一般6300円/夜チケット4200円(夜公演のみ、全席)
U25(25歳以下)3150円(要証明書)/高校生以下1000円(要証明書)
申し込み・問い合わせ
劇団民藝 電話044-987-7711(月~土、10:00~18:00)
※ぴあ、ローソン、eプラス、キノチケなどのプレイガイドでも取り扱いあり
※前売開始:2019年8月14日(水)~
ウェブページ:http://www.gekidanmingei.co.jp/performance/2019_ihoujin/
劇団民藝
民衆芸術劇場(1947年~1949年、第一次民藝)を前身に、1950年に滝沢修・清水将夫・宇野重吉・北林谷栄らによって発足。その後は大滝秀治と奈良岡朋子、現在は奈良岡朋子を代表として、樫山文枝、日色ともゑ、梅野泰靖、伊藤孝雄ら約170名の劇団員が毎年東京公演5作品、ほかに全国各地での公演、稽古場公演など各地で年間250ステージほどを上演。劇団ならではのアンサンブルによる密度の濃い舞台づくりを目指している。
主演・樫山文枝
本作では洋食「むらもと」を切り盛りする妻であり母である「村本早苗」役で主演する。
1963年に俳優座付属養成所を卒業し劇団民藝へ。翌年「アンネの日記」のアンネ役で舞台デビュー、NHK朝の連続テレビ小説「おはなはん」(66年)に主演し日本全国で人気を独占(当時の最高視聴率は56.4%)。劇団民藝公演を中心に、映画、テレビドラマ、ナレーションなどでも活躍。紀伊國屋演劇賞やゴールデンアロー賞など受賞多数。
中津留章仁
劇作家・演出家。劇団「TRASHMASTERS」を主宰し小劇場で活躍しながら各劇団へ作品を提供している。日本劇作家協会副会長(会長:渡辺えり)。現代日本の諸相を描くその劇作は常に演劇界の注目を集めている。東日本大震災と原発事故を描いた「背水の孤島」で読売演劇大賞選考委員特別賞、優秀演出家賞、紀伊國屋演劇賞、千田是也賞を受賞。今回は劇団民藝との2度目となる作・演出作でふたたび鮮度の高い人間ドラマを目指す。